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建設業一人親方が現場でハラスメントを受けたらどのように対処するべきか?

建設現場で1人親方が足元を見られて、元請けに横柄な態度を取られたり無理難題を押し付けられたりすることがあります。

これを下請けだから仕方がないと思って、やり過ごしてきた職人さんも多いのではないでしょうか。

しかし現在これが問題になっています。 ハラスメントと言えばセクシャルハラスメントいわゆるセクハラ、他にもパワハラなどが存在します。 この1人親方に対するハラスメントパワハラにも当たりますし、現場ではスルーされていることでしょう。

しかしこれからは我慢しなくても良くなるかもしれません。 というのも建設業界でのハラスメントが問題になっているからです。

それでは1人親方がハラスメントにどのように対応すべきか、本日は書いていきたいと思います。

 

一人親方がハラスメントを受けたらどうすべきか

建設現場ではハラスメントが起きやすい状況です。 なぜなら元請けと下請け上下関係が非常に強く、何かを言われても言い返すことができない状況です。 言い返してしまったら仕事がなくなる可能性がある、そして仕事がなくなれば1人親方は生活ができなくなります。 足元を見られて無理難題を押し付けられたこともあるんじゃないでしょうか。

実際にミスをした場合などは、叱責されてもおかしくはないのですが。それでも過剰なほどに何度もしかも長時間いびられ続けたり、笑われ続けることもあるでしょう。そうなった場合にはそれなりの対処が必要です。

仕事をいただいている立場なのだから仕方ないと思うのは、もう昔の話なのかもしれません。

現在、建設業のハラスメントはとても大きな問題になっています。ですから元請け会社も大きければ大きい企業であるほど元請けであってもパワハラに対しては敏感です。

表面上だけハラスメントを警戒していると言う現場もあるでしょうが実際には上層部はかなり敏感に反応しているはずです。 現場でのハラスメントがあれば即刻対応した方が良いでしょう。

というのも建設業界では、働き手が減っています。その中でパワハラが存在している元請けと、存在しない元請けはどちらで働きたいでしょうか?当然パワハラが存在しない元請けを選びたいのではないでしょうか?

ここから先、10年の間に、建設業界は多くの人が引退していきます。その中で徐々に収入も上がっていき、そして一人親方が働く場所を選べるようになっていくでしょう。

その中でパワハラがある元請けは生きていけないでしょう。生きていけたとしても、仕事を選べないレベルの仕事しかできない職人ばかりが集まり仕事の質も落ちていくことは間違いありません。

 

ハラスメントに敏感な会社が生き残る


これからの時代、もしハラスメントを無視し続ける会社の仕事は受けないようにしていった方がいいかもしれません。

賢い元請けさんは人材が必要だと気がついているはずです。

ですからパワハラを従業員に対し厳しく取り締まっています。実際元請けには「パワハラ防止規定の策定や被害者相談窓口の設置」など、社内のパワハラ同様に精神的なケアを含む対応を行う必要」があります。これは法律上必要になっています。

そしてこれから先も元請けさんに長く仕事をいただきたいのであれば、しっかりと声を上げること。そして会社として対応してもらいましょう。

 

雇用関係がなくてもハラスメントなのか

 

実は元請けと、下請けでは雇用関係がありません。

ハラスメントとは個人事業主同士ではなく、会社の雇用関係があるから成り立つものであって、下請けへのハラスメントは法律の罰の対象ではありませんでした。

しかし2019年のハラスメント規制法改正で、職場におけるパワーハラスメント防止対策が強化され、建設業において下請けに対してのハラスメントを取り締まりする指針が認められました。

つまりこれまでは元請けの嫌がらせは法律的なハラスメントではなかったのですが、2019年以降は元請けに対しハラスメントを取り締まる義務が発生しました。

自社の従業員が、元請けの従業員からハラスメントを受けないことはもちろん。下請けに対しハラスメントをしてしまうことのないよう措置を講ずることが望ましいということになったのです。元請けはもちろん一人親方であってもこれは同じで、二次受けに対しパワハラをおこなったとしてもその義務を無視したことになり得ます。

つまり元請けには「パワハラ防止規定の策定や被害者相談窓口の設置」など、社内のパワハラ同様に、下請けへのハラスメントのケアを行う必要が出てきます。

そもそもパワーバランスがおかしい建設業の下請けなので、この法律に従い改善を求めていくほかはないでしょう。

 

ハラスメントとは法律上どこからなのか

法律で認められているハラスメントとはどんなものなのでしょうか。6つの種類に分けることができます。

 

1.身体的な攻撃

 

社員の体に危害を加える行為は「身体的攻撃」型のパワハラに該当します。

例:殴る、蹴る、叩く、ものを投げつける など

ここで重要なのは「ケガをしたかどうか」でパワハラかそうでないかが決まる訳ではないということです。つまり、ヘルメットの上から軽いもので叩いたり、ケガをしそうもないものを投げつけた場合でも、パワハラは成立します。他者を威嚇し、従わせようとする行為であればそれはパワハラに該当します。

 

2.精神的な攻撃

 

侮辱や暴言、また業務改善の域を越えた罰則を与えることは、「精神的な攻撃」型のパワハラに該当します。

 

例1:「バカ」「使えない」「辞めろ」などの名誉棄損に当たる言葉を投げかける

例2:ミスをした社員を別室で注意せず、同僚の前で人格否定を繰り返す

例3:ミスをした社員に、直接的な業務改善にはあたらない罰(長時間立たせるなど)を長時間にわたって行わせる

例4:ミスをした社員に弁償や退職を強要する

暴言は、例えその前に社員のミスがあったとしても、業務を遂行するのに必要な言葉とは考えられませんので、精神的な攻撃とみなされパワハラに該当します(例1・例2)。

また、ミスに対して過度な罰を与えることもこの型のパワハラに該当します (例3・例4) 。

 

3.過大な要求

 

遂行不可能なほどの業務や業務上明らかに不要なことを強制させることは「過大な要求」型のパワハラに該当します。

 

例1: 能力や経験を無視してこなすことのできない仕事を課したり、他の社員よりも著しく多い業務を課す

例2:ミスをした社員に見せしめ的に就業規則の書き写しや始末書の提出を求める

「ただ仕事が多い」のではなく、その社員の置かれている状況を考えずに明らかに無謀な仕事を任せることは、この型のパワハラに該当します(例1)

また、ミスに対する教育を名目に、不要な業務を課すのもこの型のパワハラと見なされます(例2)

 

4.過小な要求

 

「過大な要求」とは逆に、 能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることは「過小な要求」としてパワハラに認定されることがあります。

 

例:ミスを理由に、本来の業務とは異なる業務を命じたり、仕事を取り上げる

例えば電気工事士として働く社員に、ミスを理由に駐車場の草むしりや書類をシュレッダーにかける業務しか任せなくなり、それが何週間も続く…ということがあれば、この型のパワハラに該当

 

5.人間関係からの切り離し

 

特定の社員に対して無視や仲間はずれにしたり、物理的に隔離するなどの行為は「人間関係からの切り離し」型のパワハラです。

 

例1:話しかけても応答しない、社内行事に誘わない

例2:1人だけ別室での作業を命じる、正当な理由なく隅の席に移動させる

コミュニケーションが大切な職場内で無視や仲間外しなどを行うことは、仕事を円滑に進めるのを妨害する行為です。このような行為を行うと「人間関係からの切り離し」型のパワハラになります。

します。

 

6.個の侵害

 

個人のプライバシーを侵害する行為や言動は、パワハラに認定されます。

 

例1:有給休暇を取得する際、誰と何処へ行くのかしつこく尋ねる

例2:交際相手のことや配偶者の事をしつこく尋ねる

こういったプライバシーの問題は、男女間のいわゆる「セクハラ」のみ該当するという考えは間違いです。たとえ同性間であっても、プライバシーの侵害行為が継続的または慢性的に行われている場合は、この型のパワハラに該当します

 

まとめ

 

下請けであっても元請けから受けたハラスメントは訴えることができます。 どうしても元請けと下請けではパワーバランスが崩れて、従業員単位でのハラスメントは起きてしまうでしょう。

しかしそれは是正されなければなりません。時代が変わったのです。

以前は我慢するしかなかったことでも、これからは法律が一人親方を守ってくれるでしょう。

ただしなんでもかんでもハラスメントだと言ってしまうと、仕事が来なくなってしまう可能性もありますので、ハラスメントを訴えるより、ハラスメントを行う会社から離れるという手段が現状では良さそうです。

ただしそこから逃れられないほどなのであれば、弁護士に相談の上訴えるのもいいのかもしれません。

投稿者プロフィール

北日本労災一人親方部会
北日本労災一人親方部会
北日本労災一人親方部会 理事長 中村 翔 ~一人親方労災保険コンサルタント~

1987年(昭和62年)千葉県流山市生まれ。幼少期から高校生までは特に体を動かすことが好きで活発に過ごす。
社会人となり某大手サービス業に入社し2015年 大手サービス業を退職。
2020年に建設業一人親方様の特別加入労災団体、北日本労災一人親方部会設立。北海道、青森、岩手、秋田、宮城、福島、山形、新潟県で活動中。
小さい頃からじっとしてられない性格で、今でもなおらない。興味がすごいあるものにはどんどん追及していく癖あり。
現在は、ITに特化した大学に通い、北日本労災一人親方部会の理事を並行して動いてます。

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